就労許可証の540日間の自動的延長の2023年10月26日付の終了
1. 就労許可証(EAD)の自動的延長
Employment Authorization Document(EAD)は、アメリカでの様々な移民法上の利益を求める個人に発行される就労許可証です。この就労許可証の保持が認められる限り、当該個人はForm I-765(就労許可申請)を当局に提出することにより、その更新を申請することができます。
このForm I-765申請を当局に提出した一定の申請者について、以下の要件を満たす場合にその就労許可証の有効期限が通常自動的に延長されます。
- 現在の就労許可証の失効日までにその更新を求めるForm I-765を当局に適切に提出したこと、及び
- 以下の要件を満たすことにより、就労許可証の更新が認められること
- その就労許可証の更新申請が自動的延長が認められる分類のもと申請されたこと(後述の自動的延長が認められる分類リストを参照)、及び
- 現在の就労許可証に記載される分類が、Form I-797C(当局が発行する申請の受領通知)に記載される申請の種類と一致すること[1]
就労許可証の自動的延長期間は、通常180日とされています。
2. 一定の就労許可証の自動的延長期間を540日間に延長する暫定的な最終規則
2022年5月4日、米国国土安全保障省は、一定の就労許可証に適用される自動的延長期間をさらに延長する一時的な最終規則を公表しました。この規則により当該自動的延長期間は最大180日間から最大540日間までさらに延長され、その期間は就労許可証に記載される有効期限からカウントされます。
この最大540日間の自動的延長は、申請者がForm I-765の更新申請を以下のいずれかの要件を満たす形で当局に提出し、その申請が当局による審査中である場合に適用されます。
- 2022年5月4日より前に更新申請を提出し、その就労許可証の180日間の自動的延長期間が経過したこと
- 2022年5月4日より前に更新申請を提出し、その就労許可証の180日間の自動的延長期間中であること
- 2022年5月4日以降、 2023年10月26日までに更新申請を提出したこと
3. 就労許可証の540日間の自動的延長の2023年10月26日付の終了
前述の一時的な最終規則に基づき、540日間の就労許可証の自動的延長は2023年10月26日付で終了します。このため、同日より後に当局に提出されたForm I-765の更新申請については、通常の180日間の自動的延長が適用されることになります。
USCISはこの一時的な最終規則の延長を検討していないとみられるため、540日間の自動的延長を受けることのできる就労許可証の保持者は、2023年10月26日までにそのForm I-765の更新申請を当局に提出することが推奨されます。
4. 自動的延長が認められる就労許可証の分類
以下は就労許可証の自動的延長が認められる分類のリストです。
Category Listed on Form I-765 Renewal Application | Description |
(a)(3) | 難民(Refugee) |
(a)(5) | 亡命者(Asylee) |
(a)(7) | N-8またはN-9 |
(a)(8) | ミクロネシア、マーシャル諸島またはパラオの国籍保有者 |
(a)(10) | 国外追放の保留許可 |
(a)(12) | 一時的な保護状態(TPS)の承認* |
(a)(17) | Eビザ(E-1S、E-2S、E-3Sを含む)の立場を示す有効なI-94を保持する主たるEビザ保有者の配偶者** |
(a)(18) | L-2ビザ(L-2S)の立場を示す有効なI-94を保持する主たるL-1ビザ保有者の配偶者** |
(c)(8) | 亡命申請が審査係属中の者 |
(c)(9) | 米国移民国籍法Section 245に基づく移民の立場への調整申請が審査係属中の者 |
(c)(10) | 国外追放停止の申請者(1997年4月1日より前に提出された申請) 国外追放取消しの申請者 NACARA(Nicaraguan Adjustment and Central American Relief Act)に基づく特別規則の国外追放取消しの申請者 |
(c)(16) | 記録の作成(1972年1月1日以降継続して居住していることに基づく立場の調整) |
(c)(19) | 申請者が 明白に TPSの適格性があり「一時的な対応の受益者」として就労許可証を取得することができるとUSCISが判断した初回のTPS申請が審査係属中である者 |
(c)(20) | Section 210の合法化規定(審査係属中のI-700) |
(c)(22) | Section 245Aの合法化規定(審査係属中のI-687) |
(c)(24) | LIFE合法化規定 |
(c)(26) | H-4ビザの立場を示す有効なI-94を保持する一定の主たるH-1Bビザ保有者の配偶者 |
(c)(31) | VAWAの自己申請者 |
*TPSに基づく就労許可証の保有者は、以下のいずれかによりその就労許可証の自動的延長を受けることができます。
- 当該通知が対象者の既存の就労許可証の自動的延長を許可する場合における、当該対象者の国へのTPS指定の延長通知の官報への掲載
- 本件の自動的延長についての規定
**USCISはE及びLビザの一定の配偶者について、その立場に付随して就労が許可されたものとみなしています。このため、これらの配偶者についてはその就労許可を示す複数のオプションが就労許可証の他に存在しています。
5. 自動的延長に基づく新規の就労許可証の有効期限の計算
I-765の申請者が就労許可証の自動的延長のための要件を満たす場合、その新規の就労許可証の有効期限を右記のリンクから計算することができます (関連リンク)。 (但し、その就労許可の分類がA17、A18またはC26の場合を除きます)。
この一時的な最終規則の詳細については、右記のリンクから参照できます (関連リンク)。.
[1] 就労許可証の更新申請者が一時的な保護状態(TPS)の受益者である場合、その就労許可証及び申請の受領通知はA12またはC19の分類のいずれかを含む必要があります。もっとも、この分類は相互に一致する必要はありません。さらに、H-4、E及びL-2の配偶者については、Form I-9(就労適格の証明)との関係で雇用主に就労許可の証拠を提示する際、H-4、E及びL-2(E-1S、E-2S、E-3S及びL-2Sの入国許可コードを含む)の立場を示す有効なForm I-94をForm I-797Cとともに提示する必要があります。