前職の雇用主が申請したI-140をベースにI-485申請を提出できますか?
Form I-485を提出するためには、そのベースとなる Form I-140申請が有効である必要があります。すなわち、申請者がForm I-140に基づきグリーンカードを申請するためには、申請者はそのForm I-140に記載される立場を維持している必要があります。
一般に、雇用主により当局に提出されたForm I-140申請は、その雇用主の特定の仕事のポジションに紐付けられています。このため、当該Form I-140申請に基づきForm I-485申請を当局に提出するためには、申請者は、そのグリーンカードのスポンサーである雇用主におけるポジションに留まっている必要があります。つまり、申請者がその雇用主の元から去った場合、申請者はそのForm I-140に基づく有効な立場を失うことになります。この場合、原則として、申請者は当該Form I-140に基づきForm I-485を提出することが不可能となります。
雇用ベースのグリーンカードの内、以下の分類に基づくものは、従業員でなく雇用主が申請する必要があります。
- EB-1B:極めて優れた教授及び研究者
- EB-1C:多国籍企業のマネージャー
- EB-2 PERM:高度な学位・並外れた能力の保有者
- EB-3:熟練労働者・専門家・その他の労働者
従って、申請者の雇用主が上記のいずれかの分類に基づきForm I-140申請を提出した場合であって、その申請者がその雇用主の元で働いていない場合は、原則として、その申請者が当該Form I-140に基づきForm I-485の申請をすることが不可能となります。
他方で、申請者は、以下の分類に基づくグリーンカードにつき自己申請を行うことができます。
- EB-1A:卓越した能力の保有者
- EB-2 NIW:国益免除に該当する高度な学位・並外れた能力の保有者
Form I-140が前職の雇用主の雇用期間中に自己申請された場合、そのForm I-140は特定の雇用主の仕事に紐付けられていないため、申請者は、当該Form I-140に基づきForm I-485を申請することができます。
前職の雇用主が申請者を再雇用した場合、または新規の雇用主が前職の雇用主の承継者である場合はどうなりますか?
前職の雇用主により当局に提出されたForm I-140申請に基づきForm I-485を申請できる可能性のある一つの状況としては、当該雇用主が、申請者を、当初グリーンカードをスポンサーした仕事のポジションに再雇用した場合が挙げられます。また他の状況としては、申請者の新規の雇用者がその前職の雇用者の事業の承継者である場合が挙げられます。
これらの場合においては、当該Form I-140は有効なままである必要があります。すなわち、前職の雇用主が当該Form I-140申請を撤回しなかったこと、またUSCISがそのForm I-140申請を撤回しなかったことが必要となります。
これに加え、申請者は、当該雇用主の元で長期間に渡り働くことを意図している必要があります。Form I-140申請は移民ビザの取得を求めるものであり、この申請は真正なものである必要があります。Form I-485の承認後、申請者がその雇用主の元をあまりに早く去った場合、当該申請が真正なものであったのかについて疑義が生じ、その後の市民権申請にネガティブに影響する可能性があります。どのくらいの雇用期間が合理的な期間であるのかについては案件ごとに異なりますが、その期間は当該申請が真正なものであったことを証明するのに足りる期間である必要があります。
上記に該当しない場合、申請者がForm I-485を申請して移民の地位の調整をするためには、一般に、Form I-140申請を新規に提出する必要があることになります。申請者は、新規の申請者を通じてForm I-140申請を当局に提出するか、EB-1AまたはEB-2 NIWに基づき自己申請をする必要があります。