コロンビア、エルサルバドル、グアテマラ、及びホンデュラスを対象とする家族の再会のための新規の一時的滞在許可手続き
2023年7月7日、米国国土安全保障省は、コロンビア、エルサルバドル、グアテマラ及びホンデュラスを対象とする家族の再会のための新規の一時的滞在許可手続きの施行を公表しました。この家族の再会のための一時的滞在許可(FRP)手続きは、アメリカへの安全で合法的かつ秩序を守った移住方法を促進し、また違法かつ危険な移住を抑制することにあります。
このため、このコロンビア、エルサルバドル、グアテマラ及びホンデュラスを対象とする新規のFRP手続きにより、一定の受益者は、アメリカに一時的に滞在することが事案により認められます。この受益者は、複数の要件のうち、中でも既に当局が承認した家族のスポンサーに基づくグリーンカード申請の受益者である必要があります。この手続きによりアメリカでの一時滞在が認められる受益者は、アメリカで就労許可証を申請することが認められています。
米国土安全保障省は、このFRP手続きを、アメリカの移民国籍法(INA)により付与されたアメリカ市民以外の個人がアメリカに一時的に滞在することを認める裁量的権限により、施行しています。このFRP手続きにおいて、米国国土安全保障省は、一時的滞在許可を、事案ごとに、人道的理由または重要な公共の利益のために付与しています。USCISは、この権限のもと、キューバとハイチを対象とするFRPプログラムをそれぞれ2007年と2014年に開始しています。[1]
このFRP手続きの対象となるのは誰ですか?
1. 申請者の要件
FRP手続きは、以下の全ての要件を満たす一定の申請者が利用することができます。
- アメリカ国籍の保有者またはアメリカの永住権者
- コロンビア、エルサルバドル、グアテマラまたはホンデュラスの国籍保有者である主たる受益者[2] 及びその家族のために承認されたForm I-130(アメリカ国籍保有者以外の家族のための申請)を申請したこと
- 米国務省からサポーターとなりこのFRP手続きを開始するためにForm I-134Aを提出するよう、招待通知を受け取ったこと
2. 受益者の要件
これに加え、当該受益者は以下の全ての要件を満たす必要があります。
- アメリカ国外にいること
- 承認されたForm I-130申請の主たる受益者または従たる受益者、あるいは追加された従たる受益者であること[3]
- コロンビア、エルサルバドル、グアテマラまたはホンデュラスの国籍保有者であるか、その要件を満たす主たる受益者の従たる受益者であること
- このFRP手続きを受益者のために開始するための招待通知を受けた申請者である家族がアメリカにいること
- 申請者である家族に当該招待通知が発行された際に移民ビザが発行されていないこと[4]
- 国際旅行のために有効な有効期限内のパスポートを保持していること
- 受益者が従たる子供である場合、USCISがForm I-134Aを受領した際にその子供が21歳未満であること
さらに、当該受益者は以下の要件も満たす必要があります。
- 所定の外科医による健康診断を受けること
- 全国的及び公共の安全に関する審査にパスすること
- 米国国土安全保障省による好意的な裁量に値することを証明すること
さらに、入国管理官は、受益者の移民に関する履歴、アメリカ政府とのやり取り及びスクリーニングの結果を検討します。入国管理官は、これらの事項について、アメリカへの渡航許可の適格性があるか否かを判断する際のみならず、当該受益者に入国地点で一時的な滞在許可を付与するか否かを判断する際にも検討します。
このFRP手続きを利用できないのは誰ですか?
他方、米国国土安全保障省は、受益者が以下のいずれかに該当する場合、このFRP手続きを利用する適格性がないと判断します。
- 2023年7月10日以降に、アメリカへの入国地点間でアメリカに不法入国した場合[5]
- 2023年7月10日以降、海上で差し止められた場合[6] または
- 過去5年以内にアメリカからの国外退去を命じられた場合または過去の国外退去命令によりアメリカへの入国禁止の対象となっている場合
申請者である家族はどのように従たる受益者をサポートできますか?
従たる受益者とは、主たる受益者の配偶者及び独身の21歳未満の子供を指します。この従たる受益者は、FRP手続きによる一時的な滞在が認められる場合があります。承認されたForm I-130にこの従たる受益者が列挙されていない場合でも、当該申請者は当該受益者のサポーターとなりFRP手続きを開始するために、Form I-134Aを提出することができます。
従たる受益者をサポートする際、当該申請者は所定の証拠をForm I-134Aの一部として提出する必要があります。この証拠は、主たる受益者と申請者がサポートを申請する従たる受益者間の家族関係を証明するものである必要があります(例:出生証明書、婚姻証明書)。
招待のプロセスはどのようなものですか?
2023年7月31日、米国務省のナショナルビザセンター(NVC)は、このFRP手続きに基づく招待通知の発行を開始しました。NVCは、この招待通知を、このFRP手続きを開始するためのForm I-134Aの提出が認められるForm I-130の申請者に対し、郵送またはEメールにより発送します。この招待通知には、適用される12ヶ月の有効期限が含まれています。当該申請者は、 Form I-134Aを提出する前にこの招待通知を受け取っている必要があります。
NVCは、アメリカ政府の実務運営上のキャパシティーに基づき、招待通知をローリングベースで発行します。当該申請者は、招待通知が発行されたかについて、USCISが提供する以下のツールを用いて確認することができます。当該ツールが招待通知が発行されたと示すものの申請者の手元に届いていない場合、当該申請者は照会フォームを通じてNVCにコンタクトすることができます (照会フォーム)。.
FRP手続きの申請方法はどのようなものですか?
NVCから招待を受けた申請者のみがこのFRP手続きに申請することができます。受益者はこの手続きに申請することはできません。
このため、招待通知を受け取った後に、当該申請者が Form I-134A を右記のポータルを通じて提出することにより、この手続きを開始します。 online myUSCIS web portalを通じてUSCISに対し提出することになります。 当該申請者は、未成年である子供を含め、そのサポートする受益者のそれぞれについてForm I-134Aを別々に提出する必要があります。
Form I-134Aの提出の際、当該申請者は、右記のFederal Poverty Guidelinesの100%のレベルで当該受益者及び残りの申請者の世帯構成員を維持するのに十分な収入及び資産があることを証明する必要があります。 Federal Poverty Guidelines.
当該申請者が受益者を経済的にサポートできることを証明できない場合、当該申請者は、共同サポーターを利用することができます。共同サポーターは家族の構成員である必要はなく、またForm I-134Aを提出する必要もありません。もっとも、共同サポーターは、当該受益者の一時的なアメリカ滞在期間中、当該受益者のサポートを援助することができることを証明する必要があります。この場合、当該申請者は、補足となる証拠とともにForm I-134Aを当局に提出します。この証拠は、経済的な責任を共有する意思であることを説明するステートメントとともに、当該共同サポーターの身分特定情報及び提供されるリソースを証明するものである必要があります。
FRP手続きの流れはどのようなものですか?
以下にFRP手続きの要約を示しています。
ステップ 1:NVCが申請者に招待通知を発送します。
- NVCは、郵送またはEメールにより、当該受益者のために提出され承認されたForm I-130の申請者であるアメリカ国籍保有者またはアメリカの永住権者に対し、招待通知を発送します。
- この招待通知は、当該申請者に対し、Form I-134Aに含める書類についての指示を含め、FRP手続きを開始するための次のステップについて指示しています。
ステップ 2:申請者がForm I-134A をオンラインで当局に提出します。
- 招待通知を受け取った後、当該受益者のために承認されたForm I-130を提出した申請者は、 Form I-134A を右記のポータルを通じて提出することにより、この手続きを開始します。 online myUSCIS web portal.
- USCISは当該申請者の身元調査をし、申請者が受益者を経済的にサポートできることを確認します。当該申請者はまた、各Form I-134Aにおいて、主たる受益者と従たる受益者の家族関係を証明する証拠を提出する必要があります。
ステップ 3:受益者が当該申請をサポートする情報を電子的に提供します。
- USCISがForm I-134Aを確証した場合、USCISは、Form I-134Aに記載される受益者に対し、myUSCISでのオンラインアカウントの作成方法についての指示及び次のステップについての情報を含むEメールを送付します。
- 受益者は、略歴の情報を確証し、的確性を満たすこと及び所定の外科医による一定のワクチン、健康診断及び旅行許可を受けたことを証言する必要があります。
ステップ 4:受益者がCBP One mobileの申請をリクエストします。
- ステップ3の完了後、USCISは受益者のオンラインアカウントに、 CBP One mobile application (PDF, 771.55 KB)へのアクセス方法についての指示を投稿します。受益者は、CBP Oneに所定の略歴情報を入力し、写真を提供する必要があります。
ステップ 5:CBPが受益者に対しアメリカへの渡航許可証を発行します。
- ステップ4の完了後、CBPはその裁量において、受益者のオンラインアカウントに、受益者がアメリカへの入国地で裁量による一時的滞在許可を求めるべくCBPがアメリカへの渡航許可証を発行することを決定したか否かについて確証する通知を投稿します。
- 承認された場合、この渡航許可証は90日間有効です。この渡航許可証を受け取った受益者は、アメリカの目的地に直接飛行機により渡航するようアレンジすることが推奨されます。もっとも、この渡航許可証の付与はアメリカへの入国地点でアメリカでの一時的滞在が許可されることを保証するものではありません。
- 18歳未満の子供は、親の保護及び親権のもとその親とともにあるいは関係性を確証することのできる書面を提供できる法的保護者とともに渡米する必要があります。
- 主たる受益者は、従たる受益者とともにまたは当該受益者より前にアメリカに渡米する必要があります。従たる受益者は、主たる受益者がアメリカでの一時的滞在を認められない限り、アメリカでの一時的滞在は認められません。
ステップ 6:受益者がアメリカへの入国地点で一時的滞在許可を求めます。
- CBPはアメリカの空港内の入国地点に到着した受益者を検査し、裁量による一時的な入国許可を付与するか否かについて事案ごとに検討します。
- 空港への到着時に、受益者は追加の指紋による審査を含む追加のスクリーニングと審査を受けます。CBPは、受益者が国家の安全保障や公共の安全に脅威となると判断した場合、当該受益者に一時的滞在許可を付与しません。CBPはまた、そのような受益者を入国管理および税関執行官に引き渡す場合があります。
ステップ 7:受益者がアメリカでの一時滞在許可を付与されます。
- この手続きにより一時的滞在許可を付与された受益者は、アメリカの永住権申請の提出を待つ間、通常3年間までアメリカでの一時的滞在が認められます。
- 一時的滞在許可を付与された受益者は、 Form I-765, Application for Employment Authorizationを オンライン または郵送により提出することにより、就労許可証を申請することができます。
Form I-134Aが否認された場合はどうなりますか?
USCISによるForm I-134Aが証拠不十分との決定は最終的な決定です。USCISは、申請者と受益者に対し、その決定通知をEメールで送付します。もっとも、申請者は、新規のForm I-134Aを追加の証拠とともに提出することができます。
アメリカでの一時的な滞在許可が認められた後、受益者には何が認められますか?
1. 就労許可証の申請
アメリカでの一時的滞在が認められた後、受益者はUSCISに対し裁量による就労許可を申請することができます。受益者は(c)(11)の分類コードを使用して申請費用とともに Form I-765, Application for Employment Authorizationを提出することにより、就労許可証の申請を行うことができます。申請者はまたは右記のForm I-912を提出することにより申請費用の免除の申請を行うことができます。 Form I-912, Request for Fee Waiver.
2. ソーシャルセキュリティーナンバー及びカードの取得
受益者はまた Form I-765, Application for Employment Authorizationを用いてソーシャルセキュリティーナンバー(SSN)を申請することができます。受益者がForm I-765においてSSNをリクエストした場合、ソーシャルセキュリティーエージェンシー(SSA)がSSN及びソーシャルセキュリティーカードを発行します。SSAは、ソーシャルセキュリティーカードをForm I-765で提供された住所に郵送します。
3. 住所の更新
アメリカに30日を超えて居住する受益者は、そのアメリカの住所を一時的な滞在許可の要件として当局に通知する必要があります。さらに、アメリカに入国後に住所が変更された場合は、以下のいずれかの方法によりUSCISに対しその変更から10日以内に通知する必要があります。
- USCISの オンラインによる住所変更フォームまたは
- 受益者の既存のUSCISのオンラインアカウント(該当する場合)[7]
4. 一時的な滞在許可の終了
受益者が既にアメリカでの一時的滞在許可を付与された場合、その滞在許可は以下のいずれかの場合に自動的に終了します。
- 受益者がアメリカから出国した場合
- 受益者の一時的滞在許可の有効期限を過ぎた場合
もっとも、受益者が事前の一時的滞在許可証(Advance Parole Document)を保持してアメリカから出国した場合、当該受益者はその旅行後にアメリカでの一時的滞在許可を求めることができます。
さらに、米国国土安全保障省は、あらゆるアメリカの法令違反を含む他の理由によっても、受益者に通知を行うことでその裁量により一時的滞在許可を終了することができます。受益者が一時的滞在許可の有効期限を過ぎてもアメリカに滞在し、その他の滞在が認められる事由がない場合、受益者に遭遇した当局の担当官は、その受益者を移民法上の手続きのために入国管理および税関執行官に引き渡す場合があります。
5. アメリカからの出国
受益者がアメリカから出国しその後一時的滞在許可を得た者として戻ってくることを希望する場合、当該受益者は事前の一時的滞在許可証(Advance Parole Document)をリクエストする必要があります。受益者はこの許可証を、アメリカ国外への旅行の前にForm I-131(渡航許可申請)を提出することによりリクエストすることができます。
もっとも、この事前の一時的滞在許可証の取得は、受益者がアメリカでの一時的滞在許可を認められることを保証しません。CBPは、受益者がアメリカへの入国地点に帰国した際に、受益者の一時的滞在許可申請のリクエストについて別途裁量による決定を行います。
受益者は、事前の一時的滞在許可証(Advance Parole Document)を取得せずにアメリカから出国した場合、アメリカに帰国し一時的滞在許可を求めることはできません。
6. 永住権の取得
所定の要件を満たす場合、受益者は移民ビザが取得可能になった時点でグリーンカードの申請を行うことができます。受益者は、右記のForm I-485を提出することでグリーンカード申請を行うことができます。 Form I-485, Application to Register Permanent Residence or Adjust Status.
7. 不法滞在
受益者が一時的滞在許可の保持者としてアメリカに到着してからアメリカに不法滞在した場合、当該受益者は移民の立場への調整を行うことができません。すなわち、そのような受益者は、永住権者としてアメリカに戻ってくるためには、移民ビザの申請のためにアメリカから出国する必要があります。
さらに、受益者がアメリカに180日を超えて不法滞在しアメリカから出国した場合、当該受益者は、免除を取得しない限り、その不法滞在期間に応じ3年または10年の間アメリカに戻ってくることが認められない場合があります。
受益者がこの再入国の一定期間の禁止対象となる場合、受益者は、アメリカの大使館または領事館で移民ビザのインタビューを受けるためにアメリカから出国する前に Form I-601A, Provisional Unlawful Presence Waiverを提出することにより、免除申請を行うことができます。
移民手続きに関する詐欺の回避
最後に、USCISは移民手続きに関する詐欺について警鐘を鳴らしています。移民法に関する事項について法的助言が必要な場合は、当該助言を行う個人が法的助言を行うことが認められていることを確認してください。弁護士または 米国司法省が認定する組織 で働く承認された代理人のみが法的助言を行うことができます。
USCISはこのFRP手続きについてのよくある質問と回答を右記のリンクから提供しています (関連リンク)。.
米国国土安全保障省のこの新規のコロンビア、エルサルバドル、グアテマラおよびホンデュラスを対象とするFRP手続きについての公表については、右記のリンクからご参照ください (関連リンク)。同省のこの手続きに関するファクトシートについては、右記のリンクからご参照ください (関連リンク)。.
[1] ハイチを対象とするFRPプログラムはまた、2010年1月12日の地震による壊滅と損害からハイチが回復し続けることもその目的としています。
[2] 主たる受益者とは、その受益者のために申請者がForm I-130を提出した家族のメンバーを指します。例えば、主たる受益者は、グリーンカード保持者である申請者の配偶者または独身の21歳未満の子供である場合があります。またアメリカ国籍保有者である申請者の成人の子供または兄弟である場合もあります。
[3] USCISがForm I-130を承認した後に主たる受益者が結婚しまたは子供を持った場合、当該配偶者や21歳未満の独身の子供は、状況により追加の受益者となることができる場合があります。そのような受益者は、主たる受益者との関係に基づき一時的な滞在許可を取得できる場合があります。
[4] 移民ビザはアメリカ国籍保有者の近親の家族にとり常に取得可能です。このため、Form I-130の申請者がその近親の家族のグリーンカードのスポンサーである場合、当該申請者はこのFRP手続きを利用する必要はありません。近親の家族とは、配偶者、独身の21歳未満の子供、及びそのアメリカ国籍保有者が21歳以上である場合にその親を指します。
[5] 米国国土安全保障省は、アメリカ移民国籍法セクション240Bに基づく一回の自発的な出国または同法セクション235(a)(4)に基づく入国許可申請の撤回に基づき当該受益者が一時的滞在許可の適格性を満たさないとは判断しません。
[6] 「海上で差し止められた場合」とは、当該受益者がアメリカの管轄下の船または国籍不存在の船からアメリカの沿岸警備隊により差し止められた場合、または当該沿岸警備隊に移送された場合を指します。
[7] オンラインアカウントの作成に関するより詳細な情報については、右記のリンクからご参照ください。 USCISオンラインアカウントの作成方法.