2023年7月12日、米国国土安全保障省(DHS)は、同省が発行するSTEM指定学位のプログラムリスト(「STEMリスト」)を、その要件を満たす8種類の学業分野とこれに対応する米国教育省の教育プログラム(「CIP」)コードをそれぞれ加えることにより更新しました。
STEMリストとはなんですか?
STEMリストとは、STEM分野における任意の実務トレーニング(OPT)の24ヶ月の延長を目的に米国国土安全保障省が科学、技術、工学、または数学(STEM)として指定する学業分野の包括的なリストを指します。
このSTEMリストは、F-1ビザを有する一定の学生が取得した学位がSTEM学位に該当するか否かを判断するために使用されます。その学位がSTEM学位に該当する場合、当該F-1ビザの学生は、通常12ヶ月で終了する学位プログラム終了後のOPTを、24ヶ月間延長することができることになります。
こちらのリンク に最新のSTEMリストが掲載されています。
私の学位がSTEM学位に該当するかどうかについて、どのように確認できますか?
米国国土安全保障省は、24ヶ月間のSTEM OPTの延長が可能なSTEM学位を特定するために、CIPコードを使用しています。CIPコードは、米国教育省により指定された数字番号による分類です。このCIPコードは、教育機関が提供する学業分野の分類・報告のために使用されます。CIPコードは、Form I-20の最初のページ(Program of StudyセクションのMajor 1の項目)に記載されています。
核となるSTEM分野
米国国土安全保障省は、以下の4種類の分野を核となるSTEM分野として指定しています。
- 工学
- 生物科学
- 数学
- 物理科学
従って、米国国土安全保障省は、これらの4種類の学業分野を2桁レベルのCIPコードによりSTEMリストに列挙しています。
- 工学 (14)
- 生物科学または生物医学 (26)
- 数学及び統計 (27)
- 物理科学 (40)
上記の4種類の分野はSTEMの学業分野に該当するため、これらの分野に新規に追加される学業は全て自動的にSTEMリストに含まれることになります。CIPコード(2桁レベル)が上記のCIPコードのいずれかに該当する場合、STEM OPTを24ヶ月間延長することができることになります。
STEM関連の学業分野
これに加え、米国国土安全保障省は、以下の学業分野をSTEM関連の学業分野として指定し、6桁の下位分類レベルでSTEMリストに列挙しています。
- 工学、数学、情報工学、または自然科学(物理、生物、及び農業科学を含む)を用いた研究、革新、または新技術の開発に関わる学業分野を含む、関連する学業分野
従って、米国国土安全保障省は、以下のCIPコードから6桁の下位分類のレベルでSTEM関連の学業分野を指定しています。同省は、これらの下位分類の学業分野を、当該分野において学生が核となるSTEMの修養に十分に従事するものとみなされることにより、当該学業分野をSTEM関連の学業分野として指定しています。
- 農業・動物・植物・獣医科学 (01)
- 天然資源及び保全 (03)
- 建築及び関連サービス (04)
- 情報伝達・ジャーナリズム及び関連プログラム (09)
- 通信技術・通信技術者及びサポートサービス (10)
- コンピューター・情報工学及びサポートサービス (11)
- 教育 (13)
- 工学・工学関連技術/工学関連技術者 (15)
- 軍事科学・軍事リーダーシップ及び軍事作戦術 (28)
- 軍事技術及び応用科学 (29)
- 多分野/学際的研究 (30)
- 科学技術/科学技術者 (41)
- 心理学 (42)
- 国土安全保障・法の執行・消防及び関連保安サービス (43)
- 社会科学 (45)
- 輸送と資材の移動 (49)
- 医療専門家及び関連プログラム (51)
- ビジネス・マネジメント・マーケティング及び関連サポートサービス (52)
これらのSTEM関連の学業分野においては、そのCIPコードが2桁のレベルで上記のいずれかに該当する場合でも、STEM学位に該当しない場合があります。特定の学位がSTEM学位に該当するか否かを判断するためには、6桁レベルのCIPコード(例:01.0308)がSTEMリストに掲載されているかを確認する必要があります。当該コートが同リストに掲載されている場合、STEM OPTの24ヶ月間の延長が可能となります。
どの新しい学業分野がSTEMリストに追加されましたか?
2023年7月12日、米国国土安全保障省は、以下の新規のSTEM関連の学業分野をSTEMリストに追加しました。
- 景観設計学 (04.0601):学生を景観設計及び当該分野の様々な側面の研究における専門家として養成するプログラム。地質学と水文学、土壌・地被植物・園芸学の要素、プロジェクト及び敷地計画、景観デザイン・歴史及び理論、環境デザイン、適用法及び規則、及び専門家としての規範及び水準についての指導を含む。
- 機関研究 (13.0608):学生を中等教育後の教育機関(大学や職業訓練校など)における機関研究者として養成するプログラム。データ分析、データに基づく意思決定、データマイニング、高等教育機関における行政と組織、研究方法、及び統計についての指導を含む。
- メカトロニクス、ロボット工学及び自動化エンジニアリング技術/技術者 (15.0407):学生を自律的なコンピューター制御の電気機械システムの設計、開発、及び稼働評価に対するエンジニアをサポートするために、基本的な工学原則と技術スキルを適用できるよう養成するプログラム。コンピュータ及びソフトウェア工学、制御工学、電子電気工学、機械工学、ロボット工学についての指導を含む。
- 複合材料技術/技術者 (15.0617):学生を航空機技術、自動車技術、船舶、医療用人工装具、及び風力タービンにおける複合材料の開発、製造、使用に従事するエンジニアやその他の専門家をサポートするために、基本的な工学原理と技術スキルを応用できるよう養成するプログラム。コンピューター支援設計と製図、複合材料とプロセス、複合材料のメンテナンス、複合材料の製造、複合材料の修理、材料科学、金型の製造と生産に関する指導を含む。
- 言語学とコンピューターサイエンス (30.4801):コンピューターと人間の言語の関係、および自然言語に適用される計算技術に焦点を当てたプログラム。コンピューター プログラミング、人間の言語、言語分析、論理、自然言語処理、意味論、機械学習、心理言語学、ソフトウェア エンジニアリング、および構文の指導を含む。
- 発達および青少年心理学 (42.2710):青年期から成人期までの個人の心理的成長と発達の独特な段階の科学的研究に焦点を当てたプログラム。認知および知覚の発達、感情の発達、人格の発達、行動に対する生物学的成熟の影響、認知成長の理論と関連する研究方法、さまざまな年齢レベルのテストと評価方法、児童および青少年の行動療法に関する研究、および老化の心理学を含む。
- 地理空間インテリジェンス (43.0407):学生を人間の行動を文化的、政治的、経済的、社会的、物理的景観に関連付けることにより、地理的な観点を使用して安全保障とインテリジェンスの問題を分析できるよう養成するプログラム。航空写真分析、地図作成、地理情報システム (GIS)、自然地理学、リモート センシング、空間プログラミング、地理研究における定量的手法の指導を含む。
- 人口統計および人口研究 (45.0501):人口モデルと人口現象、および社会構造と行動の関連問題の体系的な研究に焦点を当てたプログラム。人口増加、空間分布、死亡率と出生率要因、移住、動的な人口モデリング、人口推定と予測、人口データの数学的および統計的分析、人口政策研究、経済学と政府計画の問題への応用に関する指導を含む。
上記の新規の学業分野の指定に際し、米国国土安全保障省は、当該分野が工学、物理科学、及びコンピューター科学を用いた研究、革新、または新規技術の開発といったSTEM分野から構成されていると述べています。
こちらのリンク から米国国土安全保障省によるSTEMリストへの直近の更新についての公表が確認できます。