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移民ビザの取得可能性とはなんですか?

移民ビザは、米国に永続的に居住し働くことを意図する米国人以外の個人に発行されます。米国移民国籍法(Immigration and Nationality Act)は、米国永住権の取得を求める個人に対し発行可能な移民ビザの数を毎年制限しています。移民ビザへの需要の高さと、ビザ申請の分類・国ごとの移民ビザの発行可能数の割当てにより、一定の移民ビザ申請者にとり移民ビザは常に取得が可能なわけではありません。

一般に、移民ビザが取得可能であること(移民ビザの取得可能性)は、USCISが移民の立場への調整申請(Form I-485)を受領しまた裁決するための要件の一つとされています。[1] すなわち、ほとんどの場合、移民ビザは、移民の立場への調整申請の提出時及び、もし申請が承認された場合にはUSCISによる最終的な裁決時の双方の時点において、取得可能である必要があります。[2]

このため、移民ビザの取得可能性は、申請者による移民の立場への調整申請の当局への提出が認められるタイミングを決定することになります。当該申請者は、その申請者にとり移民ビザが取得可能でない限り、移民の立場への調整申請を当局に提出することができません。

どの種類の申請者が移民ビザの取得可能性を検討する必要がありますか?

移民ビザの取得可能性は、申請者の分類により以下の通り異なります。

1. 移民ビザが常に取得可能である申請者(移民ビザの常時取得可能性)

(1) 米国市民の近親者

米国市民の近親者(以下に列挙)が取得可能な移民ビザの数は無制限のため、これらの近親者にとって移民ビザは常に取得可能とされています。

  • 米国市民の配偶者 
  • 米国市民の子供(独身で21歳未満の者)
  • 米国市民(21歳以上)の親 
  • 米国市民の寡夫または寡婦(米国市民が他界する前に移民申請を提出した場合、または寡夫・寡婦が米国市民の逝去から2年以内に移民申請を提出した場合)

(2) 追加の分類に該当する個人

以下の立場または規定に基づき移民の立場への調整申請を提出する申請者も、移民ビザの発行可能数に関する制限を免除されています。適格性がある場合、これらの申請者は、いつでもまたは適用法により求められる期間中、移民の立場への調整申請を当局に提出することができます。

  • 亡命者または難民
  • Tビザ(人身売買の被害者)
  • Uビザ(犯罪の被害者) 
  • 特別の農業従事者または合法化の規定
  • 一定の移民の立場への調整申請を伴う公法 
  • 合法化された移民法を通じ救済を得た個人

2. 移民ビザが常時取得可能ではない申請者(発行可能数に制限がある移民ビザの取得可能性)

他方、以下の分類に基づき移民の立場への調整申請を提出する申請者は、取得可能な移民ビザの発行数についての制限の対象となります。[3] このため、これらの申請者については、移民ビザは常時取得可能ではありません。

  • 家族のスポンサーによる一定の分類の移民申請
  • 雇用主のスポンサーによる分類の移民申請
  • ビザ多様性プログラム

さらに、取得可能な移民ビザの数は、これらの分類内の小分類(EB-1, EB-2, F1, F2A等)へと割り当てられています。これに加え、申請者の出生国に基づき割り当てられる移民ビザの発行可能割合も制限されています。

このため、移民ビザが取得可能か否か、また取得可能でない場合に取得可能となるまでの申請者の待ち時間は、以下の要素により異なることになります。

  • 移民ビザの数への需要と供給
  • 申請者の申請分類に割り当てられる移民ビザの数
  • 国ごとの移民ビザの数の制限

移民ビザが直ちに取得可能でない場合、申請者は、ビザが取得可能となるまで、移民の調整申請の提出を待つ必要があります。

移民ビザの発行数に制限がある分類について:いつ移民ビザは取得可能となりますか? 

一般に、移民ビザは、移民の立場への調整申請の申請者の優先日(priority date)が、USCISが毎月指定する米国務省発行のビザ広報記載の基準日(cut-off date)より前の場合に取得可能となります。この基準日が「C」(現在)の場合も、移民ビザは直ちに取得可能となります。 

1. 優先日(Priority Date)とはなんですか?

優先日とは、以下にさらに説明される通り、一般に、移民の立場への調整申請の根拠となる申請(Form I-130等)がUSCIS に適切に受領された日を指します。この優先日が移民ビザが取得可能となることを待つ申請者の列のどこに申請者が位置しているかを決定し、その根拠となる申請の当局からの受領通知(Form I-797)にこの優先日は記載されています。

家族のスポンサーによる移民申請の場合

家族のスポンサーによる移民申請の申請者の場合、優先日は、Form I-130(家族のための申請)またはForm I-360(アメラシアン、寡夫・寡婦、または特別の移民申請)がUSCISに適切に受領された日を指します。

雇用主のスポンサーによる移民申請の場合

雇用主のスポンサーによる移民申請の申請者の場合、優先日は、以下のいずれかのうちより早い日を指します。

  • その根拠となる申請がUSCISに適切に受領された日、または
  • Permanent labor certificationが要求される場合は、その申請が米国労働省に受領された日

根拠となる申請の分類が変わった場合、優先日に影響しますか?

申請の提出後の状況の変化によっては、ある分類のもとで提出され承認された申請が自動的に新しい分類に変更されることがあります。申請者は優先日を維持することができるものの、新しい分類でのビザの取得可能性が適用されるため、移民ビザの取得可能性は変更される場合があります。新しい分類でのビザの取得可能性が不利益となる場合は、一定の家族のスポンサーに基づく移民申請の申請者は、要件を満たす場合に、当初の分類におけるより有利なポジションを維持するため申請の分類を変更しないことを選択することができます。

優先日を複数持っています。過去に取得した優先日を使用することはできますか?

申請者が同一の分類に基づく複数の優先日を持っている場合、当該申請者は最新の優先日ではなく古い優先日を使用することを意図することができます。この事態は、以下を含む一定の場合に生じます。

  • 家族のスポンサーに基づく申請の分類において、同一の申請者が同一の区分に基づき複数の根拠となる申請を提出した場合
  • 申請者が、EB-1、EB-2、またはEB-3の分類に基づき提出された雇用主のスポンサーに基づく申請の分類において、複数の承認された申請の受益者である場合
  • EB-5の申請において、投資家である申請者がそのEB-5申請の変更申請を提出する場合

もっとも、申請者が古い優先日を使用することは、以下の場合において認められません。

  • 根拠となる申請が詐欺、故意の虚偽表示、または重大な間違いにより却下され、終了し、または無効とされた場合
  • 申請者が、その根拠となる申請の提出時の分類の適格性を失い、自動的な分類の変更の適格性がない場合
  • 申請者が移民ビザを適時に申請しなかったことにより、米国務省が自動的にその根拠となる申請を無効とした場合
  • 申請者が既にその根拠となる申請を米国に移民として永住するために使用した場合

2. 米国務省のビザ広報とはなんですか?

米国務省は、調整申請の根拠となる申請の分類及び申請者の出生国ごとに移民ビザの取得可能性を要約したビザ広報を毎月発行しています (米国務省のビザ広報はこちらから確認可能です)。 このビザ広報は、米国大使館・領事館が移民ビザを発行する際のガイドとなっています。USCISもまた、移民の立場への調整申請の申請者が申請を受領されまた最終的な裁決を受ける適格性があるか否かを判断する際に、このビザ広報に依拠しています。

米国務省のビザ広報は、各申請の分類に基づき、以下の2つのチャートに移民ビザの取得可能性の基準日を示しています。

  • 最終実行日のチャート(Final Action Dates chart)
  • 申請提出用日のチャート(Dates for Filing Applications chart)[4].

USCISは、毎月、移民ビザの申請者が移民ビザが取得可能か否かを判断するための参照先として、上記の2つのチャートのうち1つを指定しています (毎月のチャートの指定はこちらから確認可能です)。一般に、USCISは、当該年度において需要数を上回る数の取得可能な移民ビザがあると判断しない限り、最終実行日のチャート(Final Action Dates chart)を移民ビザ申請者の参照用に指定しています。需要数を上回る数の取得可能な移民ビザがあると判断された場合は、 USCISは、申請提出用日のチャート(Dates for Filing Applications chart)を申請者の参照用に指定します。

これに加え、申請者は、以下の場合に、最終実行日のチャート(Final Action Dates chart)を使用して当該月の間移民の立場への調整申請を提出することができます。

  • 最終実行日のチャート(Final Action Dates chart)において、特定の移民ビザの分類が「C」(現在)である場合、または
  • 最終実行日のチャート(Final Action Dates chart)の基準日が、申請提出用日のチャート(Dates for Filing Applications chart)の基準日より後の場合

原則として、取得可能な移民ビザの数が制限されている申請分類においては、以下の場合に移民ビザが取得可能となります。

  • 申請者の優先日が、米国務省のビザ広報のチャートに申請の分類及び出生国ごとに示される基準日より前の場合、または
  • 米国務省のビザ広報のチャートに示される申請者の申請分類及び出生国における基準日が「C」(現在)である場合

ビザの後退(Visa Retrogression)とはなんですか?

一般に、当該申請分類または国に課される移民ビザの年間の制限数が既に使用されまたは直近に全て使用されることが予想される場合、米国務省のビザ広報に示される次月の基準日がその月の基準日より前に後退することになります(ビザの後退)。

このビザの後退が起きた場合、移民への調整申請の当局への提出時には移民ビザが取得可能であったものの、その申請の当局による裁決時には移民ビザが取得可能ではない事態が生じることがあります。この場合、USCISはなお、当該申請を受領・審査し、最終的な裁決の前段階まで裁決することが求められます。USCISは、移民ビザが取得可能になった際に、当該申請の最終的審査を完了します。

出生国の相互利用可能性(Cross-Chargeability)とはなんですか?

前述の通り、移民ビザの取得可能性は、根拠となる申請の分類及び申請者の出生国により異なります。一定の場合、移民の立場への調整申請の申請者は、その申請者の配偶者または親であって、同様に移民ビザを申請している者の出生国を、その出生国におけるビザの取得可能性の利益を得るために、自らの出生国の代わりに選択することができます(出生国の相互利用可能性)。

例えば、主たる申請者及び主たる申請者の派生申請者である配偶者は、互いの出生国を利用することができます。派生申請者である子供もまた、そのいずれかの親のより利益となる出生国を、必要に応じ利用することができます。

もっとも、親(主たる申請者または派生申請者)がその子供の出生国を利用することは認められていません。

この出生国の相互利用可能性の目的は、家族の結合を維持し、家族の構成員が米国に一緒に移住することを可能にすることにあります。移民ビザが家族の構成員にとり取得可能でないと思われる場合は、この出生国の相互利用可能性が認められる可能性について検討することが重要です。

免責事項


[1] 米国大使館・領事館における移民ビザの申請者はまた、移民ビザが取得可能でない限り、米国務省のナショナルビザセンターに対し、移民ビザの申請に関する書類を提出することが認められていません。

[2] 一般的な移民の立場への地位の調整申請のガイドラインとして、USCISはまた、その申請の根拠となる申請を確証し、申請者の継続的な移民ビザ取得の適格性、米国入国・滞在拒否事由の有無、及び有利な裁量(あてはまる場合)について判断します。

[3] 一般に、発行数の制限を受ける家族のスポンサーに基づく移民ビザの発行数は、年間226,000に制限され、雇用主のスポンサーに基づく移民ビザの発行数は、年間140,000に制限されています。前年度に使用されなかった移民ビザの割り当てがある場合、これらの制限を超えて移民ビザが発行される場合があります。

[4] このチャートは、米国大使館・領事館における手続きにおいて、移民ビザの申請者がいつ必要書類を集めてナショナルビザセンターに提出するよう通知を受けるべきかについて示しています。

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